農学生命科学科

研究成果

2026.04.16分子栄養学研究室の研究成果が国際学術誌「PNAS」(米国科学アカデミー紀要)に掲載されました

栄養欠乏時(飢餓時)の脂肪肝の発症に骨格筋が関与していることを発見!

 骨格筋のFoxO遺伝子が脂肪肝を調節する!


京都府立大学 農学食科学部 農学生命科学科 分子栄養学研究室の大藪葵講師と亀井康富教授を中心とする共同研究グループ
は、栄養欠乏時(飢餓時)の脂肪肝の発症に骨格筋が関与していることを明らかにし、この内容が国際学術誌「PNAS米国科学アカデミー紀要」に202648日付けにてオンライン掲載されました。 

現在、世界の成人の約3人に1人が、肝臓に脂肪が蓄積する「脂肪肝」を患っています。脂肪肝が進行すると、脂肪肝炎を引き起こし、肝臓の線維化を経て、次第に肝硬変や肝がんに至ります。

そのため、脂肪肝の発症機序を理解することは重要な学術的課題です。これまで脂肪肝の病態発症には、肥満やフルクトースの過剰摂取などの過栄養が関連していると考えられてきましたが、最近では、過栄養とは対照的な過度の栄養失調やそれに伴う体重減少が、脂肪肝を悪化させる可能性も報告されています。

また、若い女性に多い極端なダイエットによっても脂肪肝が起きることが指摘されています。しかし、こうした脂肪肝の発症に、肝臓以外の臓器がどのように関与しているかはこれまで十分に解明されていませんでした。
 

今回、共同研究グループは、マウスを用いた実験から以下のことを明らかにしました。

  1. 栄養欠乏時(飢餓時)には骨格筋内でFoxOと呼ばれる遺伝子が脂質代謝やグリコーゲン代謝などを調節し、肝臓への過剰な脂肪蓄積を防ぐ機構として働いていることを明らかにしました。
  2. 肝臓に脂肪が蓄積しやすい高スクロース・コレステロール含有の高脂肪食(ウェスタン食)を与えた時、骨格筋でヒトFoxO1遺伝子を発現増強したマウスでは、脂肪肝炎(MASH:代謝機能障害関連脂肪肝炎)様の病態発症が起きにくいことを明らかにしました。

これにより、骨格筋が肝臓の病態・生理に重要な役割を担っていることが示唆され、脂肪肝調節における複雑で巧妙な臓器間の連関機構の存在が示されました。

これらの成果は、飢餓適応における生体恒常性を調節する骨格筋FoxO遺伝子の重要な役割を明らかにするものです概要図 

 

【概要図】

★論文情報

  1. 論文名:Loss of FoxO in skeletal muscle leads to disrupted muscle metabolism and exacerbates starvation-induced hepatic steatosis.
    (骨格筋におけるFoxOの喪失は、筋肉代謝の乱れを引き起こし、飢餓誘発性の脂肪肝を悪化させる)
  2. 著者:  Mamoru Oyabu*, Manato Sakaue, Atsushi Kubo, Kiyoshi Yoshioka, Runa Kawaguchi, Haruki Yamamoto, Yuzuka Kinjo, Jungin Kwon, Hiroki Nishi, Daisuke Yamanaka, Tomoki Sato, Daiki Mori, Takahiro Eguchi, Naoki Ito, So-ichiro Fukada, Takayoshi Suganami, Shinji Miura, Yusuke Ono, Fumihiko Hakuno, Shin-ichiro Takahashi, Tsuyoshi Goto, Yasutomi Kamei*.(*責任著者)
    (大藪葵、阪上愛斗、久保純、吉岡潔志、川口留奈、山本遥希、金城柚花、KwonJungin、西宏起、山中大介、佐藤友紀、森大輝、江口貴大、伊藤尚基、深田宗一郎、菅波孝祥、三浦進司、小野悠介、伯野史彦、高橋伸一郎、後藤剛、亀井康富)
  3. 雑誌名: Proceedings of the National Academy of Sciences, 123 (15), e2600036123 (2026)

  4. DOI:https://doi.org/10.1073/pnas.2600036123


★大学HP

    https://www.kpu.ac.jp/news/kenkyuuseika20260415/

★プレスリリース

    https://www.kpu.ac.jp/media/20260415Pressrelease.pdf

研究成果

月別アーカイブ