農学生命科学科

研究成果 

2020.09.24 動物機能学研究室と慶應大学との共同研究が『Nature』に掲載されました

動物機能学研究室と慶應大学との共同研究がNatureに掲載されました。

腸管の腸内細菌情報が、腸/肝臓領域から<求心性迷走神経→脳→遠心性迷走神経>神経反射経路を介して腸へ伝達され、腸管制御性T細胞(pTreg)の産生を制御する、生体内の新規機構を世界で初めて明らかにしました。本研究は、慶應義塾大学医学部内科学教室(消化器)の金井隆典教授を中心とするグループにより実施され、京都府立大学動物機能学研究室の岩崎有作教授は、求心性迷走神経から脳への作用経路の解析を担当しました。

 

本研究成果の詳細は、英科学誌『Nature』(Volume585, No.7826, 2020924日)に掲載されました。

Teratani T. et al., The liver-brain-gut neural arc maintains the Treg cell niche in the gut’, Nature 585:591–596 (2020)

https://www.nature.com/articles/s41586-020-2425-3

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2020.08.11 コムギのカドミウム低蓄積性QTL解析に関する論文が掲載されました

カドミウムは、植物、動物を問わず生物の成育にとって有害な重金属です。コムギ系統中国165号(のちの品種びわほなみ)に由来するカドミウム低蓄積性を支配するQTLを見出し、2本の染色体の3つの領域にマップしました。今後、遺伝子の単離が期待されます。

 

この研究は、植物育種学研究室と農研機構西日本農研棟との共同研究で、2020520日にBreeding Scienceに掲載されました。

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2020.08.11 ゲノム編集によるトレニア多弁化の論文が掲載されました

トレニアの雄ずいおよび心皮の形成に関わる2つの遺伝子(TfPLETfFAR)をRNAiおよびゲノム編集により機能抑制することで,多弁咲き(八重咲き)のトレニアの作出に成功するとともに,2つの転写因子遺伝子の協調的なはたらきについて明らかにしました。

 

本研究は,植物育種研究室と、農研機構との共同研究によるものです。論文は2020年4月24日に科学雑誌Plantaに掲載されました。

 

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2020.06.17 大学院生が発表した論文が,2020年度 の日本動物学会 Zoological Science Award を受賞することが決定しました

2019年に Zoological Science 誌で発表された66本の論文から6本が受賞論文として選ばれ,そのうちの1本に京都府立大学大学院生命環境科学研究科博士後期課程2回生の青山悠さん(日本学術振興会特別研究員DC2,論文発表時:博士前期課程2回生)と大島一正准教授が発表した論文が選ばれました.

受賞決定に関する website
https://www.zoology.or.jp/news/zoological-science-award-2020

論文タイトル
Changing leaf geometry provides a refuge from a parasitoid for a leaf miner

著者
Haruka Aoyama, Issei Ohshima

掲載雑誌,号,ページ
Zoological Science 36(1): 31–37

論文の内容に関しては,以下のサイトをご覧ください
https://kpu-als.jp/w/research/achievement/1181/

 

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2020.06.02 1種の天敵に16種のボディーガード:大学院生が行ったシジミチョウとその共生アリ,そして寄生者に関する論文が出版されました

英文タイトル:Mutualistic ants and parasitoid communities associated with a facultative myrmecophilous lycaenid, Arhopala japonica, and the effects of ant attendance on the avoidance of parasitism

 

和文タイトル:アリ随伴性ムラサキシジミの共生アリと寄生者相,および,寄生者に対するアリ随伴の効果

 

著者名(所属):中林ゆい1,2,望岡佑佳里2,徳田 誠2,大島一正11. 京都府立大学 大学院生命環境科学研究科,2. 佐賀大学 農学部)

 

植食を食べる昆虫類は,命名されている生物種の約1/4を占めるほどに多様な仲間ですが,その多様性は天敵に対する防衛手段にもみられます.例えば,今回我々が注目したシジミチョウ科の昆虫類には,幼虫がアリに蜜を与え,その代わりにアリにボディーガードとして働いてもらう,という種が知られています.

 

この時,多くのアリ種と関係を構築できるシシミチョウほど,その寄生者は多様なアリ種に遭遇すると考えられますが,随伴しているアリ種に応じてそのアリを得意とする寄生者がやってくるのか,それともアリ種には関わりなく常に特定の寄生者がシジミチョウを狙っているのかはよく知られていませんでした.今回,幼虫期に様々なアリ種を随伴することが知られているムラサキシジミArhopala japonica(写真1)について,日本各地で随伴しているアリ相(写真2)と寄生者相を調査し,寄生者相が随伴しているアリ相に影響を受けるかどうかを検証しました.

 

その結果,過去の文献記録とも合わせると,ムラサキシジミの幼虫は16種ものアリ種を随伴できる一方,ほとんどの幼虫は常に1種の寄生蜂にのみ寄生されていました(写真3).16種ものアリを随伴できるというのは,これまで研究されてきたアリ随伴性のシジミチョウ科では,最大級の随伴種数となります.つまり,ムラサキシジミの幼虫は随伴しているアリ種に関わりなく,常に1種の寄生蜂に狙われており,この寄生蜂を追い払うために16種ものアリを随伴できる能力を獲得したと考えられます.

 

さらに本研究では,ムラサキシジミの分布域で最も広範かつ頻繁にみられる随伴アリの一種,トビイロケアリLasius japonicacusを用いて,寄生蜂に対するアリ随伴の防衛効果を実験室内で調べました.その結果,ほとんどの寄生蜂はアリが随伴している幼虫には産卵できず,アリの防衛は大変効果的であることが示されました.このことから,本研究で注目している寄生蜂は,ムラサキシジミ幼虫を餌としているものの,アリに防衛されている幼虫には野外でも寄生できていないと考えられ,アリに随伴されていない幼虫を主に狙っているのではないかと予想されます.

 

ムラサキシジミは,1950年代ごろは京都では稀な種でしたが,現在は京都でも普通にみられるシジミチョウ科の一種となっており,分布の北限も東北地方にまで広がっています.これには,地球規模での環境変動も関与している可能性がありますが,今回の研究から見えてきたような「多くのアリ種をボディーガードに雇える」という能力も,本種の分布拡大や個体数の増加に一役買っているのかもしれません.

 

ちなみに,本研究で注目したムラサキシジミの寄生蜂は,コマユバチ科Cotesia属の一種であり,これまでに命名されている種の中ではCotesia inductaという種に最も近縁と考えられます.ですが,Cotesia inductaとは別種の可能性もあるため,Cotesia inductaに近縁な種という意味でCotesia sp. near inductaとして論文中では扱っています.この寄生蜂がまだ命名されていない未記載種かどうかは今後の研究にかかっていますが,ムラサキシジミのようなごく普通種からも,まだまだ新たな発見が得られるという生物多様性の奥深さを教えてくれる例と言えます.

 

本研究成果は,国際学術誌「Entomological Science」の early view にて202055日に公開されました.

 

最後になりましたが,本研究を行うにあたり,京都府立植物園および佐賀県立森林公園からは採集および調査許可をいただきました.また,京都府立大学学術振興基金の支援のもと研究を行いました.この場をお借りして厚く御礼申し上げます.

 

写真1.ムラサキシジミの成虫

写真2.アリに随伴されるムラサキシジミの幼虫

写真3.ムラサキシジミに寄生していたコマユバチ科の一種 Cotesia sp. near inducta

 

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2020.05.20 昆虫が虫こぶを作るために、花と実を作る遺伝子群を制御していることを解明

「虫こぶ」は、虫こぶ形成昆虫が植物に作る特殊な器官・組織で、昆虫の食糧源と住処を兼ねた構造になっています。そのユニークな形態から、多くの虫こぶが記載されていますが、その形成機構は良く分かっていませんでした。

今回、京都府立大学の環境情報科学科(細胞動態額研究室)、農学生命科学科(応用昆虫研究室、細胞工学研究室)、および京都産業大学等との共同研究により、ヌルデシロアブラムシがヌルデの虫こぶを形成する際に、花や実を作る遺伝子群を制御することで、ユニークな形の虫こぶを作ることを解明しました。

ヌルデ虫こぶは葉(翼葉)にできるため、通常は花や実を作る遺伝子の働きは抑えられていますが、ヌルデシロアブラムシはこれらの遺伝子群の働きをオンにすることで、葉に特殊な構造を作っていることが示唆されました。

本研究成果は、国際学術誌「Frontiers in Plant Science」にオンライン掲載されました。

論文タイトル:Reprogramming of the developmental program of Rhus javanica during initial stage of gall inductino by Schlechtendalia chinensis

プレスリリース原稿

論文リンク

 

 

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2020.05.14 チャの被覆栽培に関する論文が発表されました

京都府特産の宇治茶の栽培では、茶摘み前に茶樹を遮光する被覆栽培という手法により、玉露やてん茶(抹茶の原料)などの高級茶を生産しています。しかし被覆栽培をした茶は、収穫時に被覆を外した際に、急激な強光にさらされてストレスを受けます。

遺伝子工学研究室の森田重人准教授は、本学生命分子化学科の佐野智講師、京都府農林水産技術センター農林センター茶業研究所と共同で、被覆栽培したチャが受けるストレスについて調査を行いました。その結果、チャは強光にさらされると一時的にダメージを受けますが、その後1〜2週間で回復することが明らかとなりました。

この研究成果は、学術誌Plantsに掲載されています。また本研究は、京都府立大学地域貢献型特別研究(ACTR)の一環として行いました。

論文タイトル: Stress Responses of Shade-Treated Tea Leaves to High Light Exposure after Removal of Shading

論文URL: https://doi.org/10.3390/plants9030302

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2020.03.30 京都府RDL絶滅寸前種:オヨギカタビロアメンボが休眠卵で越冬することを、カタビロアメンボ科の種として世界で初めて実証しました

環境省レッドデータブックで準絶滅危惧種に選定されており、京都府では舞鶴市のみで生息地が知られている日本固有種、オヨギカタビロアメンボの発生生態を解明した学部生の研究成果が、日本半翅類学会誌Rostria 64巻に公表されました:「Overwintering and egg diapause of the semi-aquatic bug Xiphovelia japonica (Hemiptera: Veliidae) in western Japan.Rostria (64): 1-15【ISSN 0910-6839】」。
カタビロアメンボ科に卵休眠する種のあることを、
世界で初めて実験的に明らかにした論文です。温帯に分布するアメンボ類の大部分は成虫の状態で越冬します。この発見は田植え時期の変化など、稲作体系や溜池環境の変化が個体群存続に強く影響することを示唆しています。

https://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/bio/db/ins0453.html

http://jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=07150220780

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2020.03.23 資源植物学研究室の研究が学術誌「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に掲載されました

ナシ果実のリグニン構造の解析に関する資源植物学研究室の研究が、アメリカ化学会の学術誌「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に掲載されました

Analysis of Fruit Lignin Content, Composition, and Linkage Types in Pear Cultivars and Related Species

Lumin Zhang, Hiroshi Kamitakahara, Hideki Murayama, Takanori Ohsako and Akihiro Itai*

  1. Agric. Food Chem.2020, 68, 8, 2493-2505

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jafc.9b07396

 

ナシ果実は,ざらざらとした食感がありますが、それは石細胞といわれる組織があるためです。これは近縁のリンゴには存在しません。石細胞にはリグニンが豊富に含まれており、食感を左右するともに食物繊維として機能します。

資源植物学研究室の大学院生章 魯閩氏と板井章浩教授らは、ニホンナシ、チュウゴクナシ、セイヨウナシ遺伝資源の果実のリグニン含量、組成、化学構造を解析し、非常に大きな多様性がみられることを明からにし、それと肉質との関連について考察しました。

本研究の成果は、今後食感および機能性を改善したナシ育種への応用が期待されます。

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2020.02.27 京都府城陽市の特産梅「城州白」の普及に向けた取り組みが月刊京都に掲載されました

京都府城陽市で生産されている梅の品種「城州白」は果実が大きく、桃のような甘い香りが特徴です.

本学科の森本拓也助教(果樹園芸学)は京都府農業改良普及センターおよび城陽市と連携し、「城州白」の生産や需要拡大を目的した研究を行っています.

その取り組みの一部が月刊京都2月号「食材の舞台裏」に紹介されました.

今後も引き続いて京都の特産果物に関する研究に取り組んでいきます.

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