農学生命科学科

すべての投稿 |2020年5月 

2020.05.20 昆虫が虫こぶを作るために、花と実を作る遺伝子群を制御していることを解明

「虫こぶ」は、虫こぶ形成昆虫が植物に作る特殊な器官・組織で、昆虫の食糧源と住処を兼ねた構造になっています。そのユニークな形態から、多くの虫こぶが記載されていますが、その形成機構は良く分かっていませんでした。 今回、京都府立大学の環境情報科学科(細胞動態額研究室)、農学生命科学科(応用昆虫研究室、細胞工学研究室)、および京都産業大学等との共同研究により、ヌルデシロアブラムシがヌルデの虫こぶを形成する際に、花や実を作る遺伝子群を制御することで、ユニークな形の虫こぶを作ることを解明しました。 ヌルデ虫こぶは葉(翼葉)にできるため、通常は花や実を作る遺伝子の働きは抑えられていますが、ヌルデシロアブラムシはこれらの遺伝子群の働きをオンにすることで、葉に特殊な構造を作っていることが示唆されました。 本研究成果は、国際学術誌「Frontiers in Plant Science」にオンライン掲載されました。
論文タイトル:Reprogramming of the developmental program of Rhus javanica during initial stage of gall inductino by Schlechtendalia chinensis
プレスリリース原稿 論文リンク    

2020.05.14 チャの被覆栽培に関する論文が発表されました

京都府特産の宇治茶の栽培では、茶摘み前に茶樹を遮光する被覆栽培という手法により、玉露やてん茶(抹茶の原料)などの高級茶を生産しています。しかし被覆栽培をした茶は、収穫時に被覆を外した際に、急激な強光にさらされてストレスを受けます。 遺伝子工学研究室の森田重人准教授は、本学生命分子化学科の佐野智講師、京都府農林水産技術センター農林センター茶業研究所と共同で、被覆栽培したチャが受けるストレスについて調査を行いました。その結果、チャは強光にさらされると一時的にダメージを受けますが、その後1〜2週間で回復することが明らかとなりました。 この研究成果は、学術誌Plantsに掲載されています。また本研究は、京都府立大学地域貢献型特別研究(ACTR)の一環として行いました。 論文タイトル: Stress Responses of Shade-Treated Tea Leaves to High Light Exposure after Removal of Shading 論文URL: https://doi.org/10.3390/plants9030302