2022年6月10日(金)から2022年6月12日(日)に神戸ポートピアホテル及び武庫川女子大学にて開催された「第76回 日本栄養・食糧学会大会」において、動物機能学研究室所属の大学院生 武藤明日香さんが学生優秀発表賞を受賞しました。
受賞者
武藤 明日香(京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 博士前期課程2年)
受賞題目
「腸ホルモンGLP-1の感覚神経・脳・副腎交感神経反射を介したアドレナリン分泌促進による体熱産生作用」
詳細は学会ホームページに掲載予定です。
日本栄養·食糧学会website
GABAは食後の内臓感覚神経活性化を増強し、満腹感を誘導し、食べ過ぎを予防する
γ-アミノ酪酸 (GABA、ギャバ) は神経伝達物質として生体内(脳)に多く存在する一方、食品(野菜、果物、発酵食品など)にも多く含まれます。食事由来のGABAは脳機能に影響を与え、不安低減や睡眠の質向上など有益な効果を有し、サプリメントや機能性食品として現在広く利用されています。しかし、摂取したGABAが脳に移行しないことは古くから知られており、GABAがどのように脳に作用しているか、そのメカニズムは不明でした。
今回、京都府立大学大学院生命環境科学研究科教授の岩﨑有作と大学院生の能美太一・大林健人を中心とするグループは、株式会社ファーマフーズとの共同研究で、以下を発見しました。
① 摂取したGABAは内臓感覚神経(求心性迷走神経)を介しての脳機能(満腹感誘導)に影響を与えることを発見しました。
② 食事は内臓感覚神経を活性化する作用を有し、GABAがこの食後内臓感覚神経活性化作用を増強することを発見しました。
③ ②の神経経路が満腹感増強という脳機能と連関し、食べ過ぎを予防することを発見しました。
本研究は、既にサプリメントや機能性食品として利用されているGABAの脳に作用する機序の一端を明らかにし、満腹感を誘導する新規作用も発見しました。今後、より詳細な機序が解明されることで、科学的根拠に基づいた機能性食品として、GABAが多くの人々の健康維持・増進に貢献することが期待されます。
本研究成果は、2022年6月24日にスイスの学術雑誌「Nutrients」誌に掲載されました。
【概要図】
GABAは食事と摂取することで求心性迷走神経活性化を増強し、満腹感を増強、食べ過ぎを予防する
【論文情報】
論文名: Dietary gamma-aminobutyric acid (GABA) induces satiation by enhancing the postprandial activation of vagal afferent nerves.
著者: Utano Nakamura†, Taichi Nohmi†, Riho Sagane, Jun Hai, Kento Ohbayashi, Maiko Miyazaki, Atsushi Yamatsu, Mujo Kim, Yusaku Iwasaki*(†共同筆頭著者、*代表著者)
雑誌名: Nutrients, 14, 2492 (2022)
https://doi.org/10.3390/nu14122492
【プレスリリース(研究概略の原稿)】
分子栄養学研究室 亀井教授が、日本栄養・食糧学会の学会賞を授賞しました。
農学生命科学科の案内、および研究室・教員の研究紹介動画を配信します。
〇 農学生命科学科のご案内はこちら (PDFファイルが開きます)
〇 各研究室・教員のご紹介
*教員名をクリックして、研究紹介動画をご覧ください。
津下誠治、辻元人:植物病原微生物の感染機構の解明と防除法の開発
福島敦史、佐藤壮一郎:植物ゲノムの進化に伴う遺伝子発現系の変動,生態系のゲノム解析(PDF資料はこちら)
増村威宏、森田重人:イネ種子の発芽や貯蔵タンパク質、米の利用に関する研究
岩崎有作:<食欲・代謝・精神>研究、「大学紹介ビデオ(5:33〜7:36)」にも紹介されています。
塚本康浩、宮崎孔志:ダチョウの研究
半田裕一: コムギ ―ゲノムから育種へ―
大坪憲弘: 誰も見たことのない花を創る
アンドレ・フレイリ・クルス、森本拓也: 果樹の品種改良
西島隆明、伊達修一: 野菜と花の未来をめざして
板井章浩、大迫敬義: 遺伝資源を利用した育種・栽培・保全研究
久保中央: 野菜の色や形を決める遺伝子の働きとその利用
武田征士: 植物器官(花弁、腺毛、虫こぶ)の形態形成
大島一正: 昆虫の多様性と進化,生態
中村貴子: 生物多様性×農業経営の人と組織を考える
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