農学生命科学科

研究成果

2022.06.24GABA(ギャバ)が脳に作用する経路と満腹感増強作用を発見(動物機能学研究室)

GABAは食後の内臓感覚神経活性化を増強し、満腹感を誘導し、食べ過ぎを予防する

 

γ-アミノ酪酸 (GABA、ギャバ) は神経伝達物質として生体内(脳)に多く存在する一方、食品(野菜、果物、発酵食品など)にも多く含まれます。食事由来のGABAは脳機能に影響を与え、不安低減や睡眠の質向上など有益な効果を有し、サプリメントや機能性食品として現在広く利用されています。しかし、摂取したGABAが脳に移行しないことは古くから知られており、GABAがどのように脳に作用しているか、そのメカニズムは不明でした。

今回、京都府立大学大学院生命環境科学研究科教授の岩﨑有作と大学院生の能美太一・大林健人を中心とするグループは、株式会社ファーマフーズとの共同研究で、以下を発見しました。

① 摂取したGABAは内臓感覚神経(求心性迷走神経)を介しての脳機能(満腹感誘導)に影響を与えることを発見しました。

② 食事は内臓感覚神経を活性化する作用を有し、GABAがこの食後内臓感覚神経活性化作用を増強することを発見しました。

③ ②の神経経路が満腹感増強という脳機能と連関し、食べ過ぎを予防することを発見しました。

 

本研究は、既にサプリメントや機能性食品として利用されているGABAの脳に作用する機序の一端を明らかにし、満腹感を誘導する新規作用も発見しました。今後、より詳細な機序が解明されることで、科学的根拠に基づいた機能性食品として、GABAが多くの人々の健康維持・増進に貢献することが期待されます。

 

本研究成果は、2022年6月24日にスイスの学術雑誌「Nutrients」誌に掲載されました。

 

 

【概要図】

GABAは食事と摂取することで求心性迷走神経活性化を増強し、満腹感を増強、食べ過ぎを予防する

 

【論文情報】

論文名: Dietary gamma-aminobutyric acid (GABA) induces satiation by enhancing the postprandial activation of vagal afferent nerves.

 

著者:    Utano Nakamura†, Taichi Nohmi†, Riho Sagane, Jun Hai, Kento Ohbayashi, Maiko Miyazaki, Atsushi Yamatsu, Mujo Kim, Yusaku Iwasaki*(†共同筆頭著者、*代表著者)

 

雑誌名: Nutrients, 14, 2492 (2022) 

              https://doi.org/10.3390/nu14122492

 

【プレスリリース(研究概略の原稿)】

原稿はこちら

 

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