骨格筋のFoxO遺伝子が脂肪肝を調節する!
京都府立大学 農学食科学部 農学生命科学科 分子栄養学研究室の大藪葵講師と亀井康富教授を中心とする共同研究グループは、栄養欠乏時(飢餓時)の脂肪肝の発症に骨格筋が関与していることを明らかにし、この内容が国際学術誌「PNAS(米国科学アカデミー紀要)」に2026年4月8日付けにてオンライン掲載されました。
現在、世界の成人の約3人に1人が、肝臓に脂肪が蓄積する「脂肪肝」を患っています。脂肪肝が進行すると、脂肪肝炎を引き起こし、肝臓の線維化を経て、次第に肝硬変や肝がんに至ります。
そのため、脂肪肝の発症機序を理解することは重要な学術的課題です。これまで脂肪肝の病態発症には、肥満やフルクトースの過剰摂取などの過栄養が関連していると考えられてきましたが、最近では、過栄養とは対照的な過度の栄養失調やそれに伴う体重減少が、脂肪肝を悪化させる可能性も報告されています。
また、若い女性に多い極端なダイエットによっても脂肪肝が起きることが指摘されています。しかし、こうした脂肪肝の発症に、肝臓以外の臓器がどのように関与しているかはこれまで十分に解明されていませんでした。
今回、共同研究グループは、マウスを用いた実験から以下のことを明らかにしました。
これにより、骨格筋が肝臓の病態・生理に重要な役割を担っていることが示唆され、脂肪肝調節における複雑で巧妙な臓器間の連関機構の存在が示されました。
これらの成果は、飢餓適応における生体恒常性を調節する骨格筋FoxO遺伝子の重要な役割を明らかにするものです(概要図)。
【概要図】

★論文情報
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★大学HP
https://www.kpu.ac.jp/news/kenkyuuseika20260415/
★プレスリリース
閉経後の過剰な砂糖摂取は内臓肥満と2型糖尿病を増悪させることを発見!
そして、この予防に希少糖アルロースが有効!
平均して50歳前後で迎える閉経に伴う女性ホルモン:エストロゲンの低下は、内臓脂肪の蓄積を促進し、2型糖尿病の発症リスクを上昇させることが知られています。女性ホルモンの補充療法は一定の有効性を示す一方で、心血管疾患や乳がんなどのリスクが問題です。
近年、腸ホルモンGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)を基盤とした製剤が、新たな抗肥満薬・抗糖尿病薬として注目されています。一方、食品成分である希少糖のD-アルロースが、甘味を有してゼロカロリーであるにもかかわらず、GLP-1分泌促進作用を有します。しかし、D-アルロースの閉経後の有用性については検証されていませんでした。
この度、京都府立大学大学院生命環境科学研究科動物機能学研究室教授の岩﨑有作、博士大学院生の射場拳虎、関西電力医学研究所統合生理学研究センター長の矢田俊彦を中心とする研究グループは、閉経後モデルマウスとなる卵巣摘出の雌マウスを用いて、以下の事を明らかにしました。
50歳以降、2型糖尿病の罹患者数は増加し、特に女性では閉経に伴うエストロゲン低下がその一因と考えられています。本研究は、砂糖の継続的な摂取が閉経後の2型糖尿病リスクをさらに高める可能性を示しました。一方、同じ甘味をもつ希少糖 D-アルロース を活用することで、閉経後に生じやすい内臓肥満や2型糖尿病を予防・改善できる可能性が、動物実験から示されました。D-アルロースはすでに食品素材として市販されており、今後ヒトでの有効性が明らかになれば、甘さを我慢せずに健康を維持する新たな選択肢となることが期待されます。
本研究成果は、スイスの学術雑誌「International Journal of Molecular Sciences」に掲載され、2026年2月8日にオンラインで発表されました。
【概要図】

【論文情報】
論文名: GLP-1 Release by Rare Sugar D-Allulose Ameliorates Sucrose-Induced Obesity and Glucose Intolerance in Ovariectomized Mice
(希少糖D-アルロースによるGLP-1分泌は、卵巣摘出マウスにおけるショ糖誘発性肥満および耐糖能障害を改善する)
著者: Kengo Iba, Miharu Kyo, Hirotaka Ishihara, Aki Nagao, Misaki Kawabe, Kento Ohbayashi, Toshihiko Yada, and Yusaku Iwasaki*.(*代表著者)
射場拳虎、京美晴、石原寛隆、永尾亜希、河邉実咲、大林健人、矢田俊彦、岩﨑有作
雑誌名: International Journal of Molecular Sciences, 27, 1651 (2026)
https://www.mdpi.com/1422-0067/27/4/1651
【大学HP】
https://www.kpu.ac.jp/news/kenkyuuseika20251114-16972-72061-16666-84114/
【プレスリリース(研究概略の原稿)】
2026年1月10日(土)に東京大学 山上会館(東京都文京区)で開催されました「第35回バソプレシン・オキシトシン研究会」において、動物機能学研究室の特任助教 増田雄太がBest English Presentation賞を受賞しました。なお、本大会における選考対象講演は3題であり、その中から1名が受賞しました。
1 受賞者
増田 雄太(ますだ ゆうた)
京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 動物機能学研究室 特任助教
2 受賞内容
第35回バソプレシン・オキシトシン研究会 Best English Presentation賞
3 研究課題
「視床下部室傍核バソプレシン神経による摂食行動における生理的意義の解析」
4 受賞年月日
2026(令和8年)年1月10日(土曜日)
(参考)
大会HP:https://www.avp.gr.jp/
令和7年11月26日(水)に京都府立医科大学(京都市上京区)で開催された「第15回 4大学連携研究フォーラム」のポスター発表(学生部門)において、本学生命環境科学研究科動物機能学研究室の大学院生1名が優秀賞を受賞しました。
尚、受賞については、事前に提出した要旨に加え、フォーラム当日に実施されたポスター発表を経た審査の結果で決定されました。本大会における選考演題は51題であり、そのうち優秀賞として4名、最優秀賞として1名が受賞しました。
記
1 受賞者
川瀬 みゆき(かわせ みゆき)
京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 博士前期課程2回生
2 受賞内容
優秀賞
3 研究課題
「美味しい高脂肪食下では、既存の満腹神経:POMC神経が働かずに、過食・肥満となる」
4 受賞年月日
令和7年11月26日(水)
(参考)4大学連携研究フォーラムは、京都工芸繊維大学、京都薬科大学、京都府立医科大学及び京都府立大学の教員や研究者、学生等が一堂に会し、お互いの研究内容に関する情報交換等を実施することにより、共同研究等の学術交流を促進し、4大学の研究活動の活性化や研究基盤の強化に資することを目的に開催されている。
2025年11月13日(木)〜15日(土)に国立京都国際会館(京都府京都市)で開催されました「BPCNPNP2025合同年会(第47回日本生物学的精神医学会・第35回日本臨床精神神経薬理学会・第55回日本神経精神薬理学会 合同年会)」において、動物機能学研究室の大学院生 射場拳虎(博士後期課程2回生)が若手優秀発表賞を受賞しました。尚、若手優秀発表賞は、若手医師、大学院生、学生等の博士号未取得者を対象として授与される賞であり、本合同年会では一般演題(口演/ポスター)の全演題を対象に審査が行われ、特に優れた演題に優秀発表賞が授与されました。
1 受賞者
射場 拳虎(いば けんご)
京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 博士後期課程2回生
2 受賞内容
BPCNPNP2025合同年会 若手優秀発表賞
3 研究課題
「オキシトシン感受性右側迷走感覚神経による抗不安・社会性向上作用」
4 受賞年月日
2025(令和7年)年11月14日(木曜日)
(参考)
BPCNPNP2025合同年会:https://www.aeplan.jp/bpcnpnp2025/index.html
日本生物学的精神医学会:https://www.jsbp.org/
日本臨床精神神経薬理学会:http://www.jscnp.org/
日本神経精神薬理学会:https://www.jsnp-org.jp/
若手優秀発表賞:https://www.aeplan.jp/bpcnpnp2025/document/award_01.pdf
2025年11月16日(月)〜19日(水)にサンポート高松(香川県高松市)で開催されました「第9回 国際希少糖学会(Rare Sugar Congress 2025, The 9th International Symposium of International Society of Rare Sugars)」において、動物機能学研究室の射場拳虎(博士後期課程2回生)がBest Poster Awardを受賞しました。
国際希少糖学会は、希少糖の研究を始めた香川大学のメンバーらが世界に発信しようと設立したもので、今回の開催で9回目になります。尚、Best Poster Awardは、80演題を対象に審査が行われ、2演題にBest Poster Awardが授与されました。
1 受賞者
射場 拳虎(いば けんご)
京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 博士後期課程2回生
2 受賞内容
Rare Sugar Congress 2025 Best Poster Award
3 研究課題
「Rare sugar D-allulose improves anxiety and social behavior via gut GLP‑1–vagal afferent nerves–brain axis」
4 受賞年月日
2025(令和7年)年11月19日(水曜日)
(参考)
Rare Sugar Congress 2025:https://isrs.kagawa-u.ac.jp/index.html
International Society of Rare Sugars (国際希少糖学会):https://www.isrs.kagawa-u.ac.jp/
11月8日(土)に帝塚山学院大学(大阪府堺市)において開催された「第64回日本栄養・食糧学会 近畿支部大会(日本栄養・食糧学会 近畿支部大会)」において、分子栄養学研究室の木村徳士さん(修士2年)と動物機能学研究室の小見渉さん(修士2年)が「若手奨励賞」を受賞しました。
尚、本大会における若手奨励賞選考講演は33題であり、審査員による厳正なる審査(発表内容や質疑応答の総合的評価)によって4名が若手奨励賞として選出されました。
受賞者(1)
氏名:木村 徳士
所属:京都府立大学 大学院生命環境科学研究科 分子栄養学研究室(博士前期課程2年生)
演題名:骨格筋における転写共役因子PGC1αは脂肪合成酵素Dgat2の遺伝子発現を増加させる
受賞者(2)
氏名:小見 渉
所属:京都府立大学 大学院生命環境科学研究科 動物機能学研究室(博士前期課程2年生)
演題名:希少糖アルロースによるインスリン感受性亢進効果とこれに関わる糖代謝臓器の解析
受賞内容
若手奨励賞
受賞年月日
2025(令和7年)年11月8日(土)
(参考)
大会HP: http://www.jsnfs-kinki.jp/
学会HP: https://www.jsnfs.or.jp/
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▶Science Japan(英語版)
Kyoto Prefectural University hypothesizes that polyamine synthesis dysfunction in skeletal muscle may be a cause of muscle atrophy
https://sj.jst.go.jp/news/202510/n1030-03k.html
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▶客観日本(中国語版)
京都府立大学发现:“多胺”合成缺陷或为肌肉萎缩原因
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2025年10月24日(金)〜25日(土)に愛知県名古屋市で開催されました「第78回自律神経学会総会」において、動物機能学研究室の博士大学院生の射場拳虎氏が第78回日本自律神経学会総会の会長賞(基礎部門)を受賞しました。
尚、日本自律神経学会総会会長賞は、同学会が主催する総会における優秀演題に対して授与される賞であり、一般演題の抄録をもとに書類選考がおこなわれ、基礎部門・臨床部門それぞれから4演題ずつの優秀演題が選出されました。その後、会期中に開催される「優秀演題セッション」にて発表された内容・プレゼンテーション・質疑応答の総合的評価によって、当該年度の「会長賞」が決定されます。
1 受賞者
射場 拳虎
京都府立大学 大学院生命環境科学研究科 博士後期課程2回生
2 受賞内容
第78回日本自律神経学会総会 会長賞 基礎部門
3 研究課題
「右側のオキシトシン受容体を発現する迷走感覚神経が創出する抗不安・社会性向上作用」
4 受賞年月日
2025(令和7年)年10月24日(金曜日)
(参考)
第78回自律神経学会総会ホームページ:
https://square.umin.ac.jp/jsnr78/index.html
自律神経学会ホームページ:
植物育種学研究室の半田裕一教授らは、世界10か国の研究機関と「国際コムギ10+ ゲノムプロジェクト」を結成して、2020年に日本のコムギ品種農林61号を含む世界のコムギ15品種のゲノム解読に成功しました。
今回、その成果をさらに進めて、多様な組織や成長段階における汎トランスクリプトー無解析を行い、コムギにおける遺伝子発現の包括的なカタログ科を行いました。この中で、日本品種農林61号には、他の外国品種にはみられない特徴的なゲノム領域があり、そこには病害抵抗性遺伝子をはじめ農林61号特異的な遺伝子が存在していることを明らかにしました。これらの遺伝子発現データセットは、日本はもとより世界のコムギ育種に貢献する重要な基盤情報となると期待されます(詳しくはプレスリリースをご覧ください)。
本研究は、京都府立大学のほか、横浜市立大学、スイス・チューリヒ大学、京都大学、新潟大学による共同研究で行われ、その成果は2025年10月6日にNature Communications誌に掲載されました。
論文タイトル:
De novo annotation reveals transcriptomic complexity across the hexaploid wheat pan-genome
Nature Communications (2025). https://doi.org/10.1038/s41467-025-64046-1
“学術論文”用原稿
De novo annotation reveals transcriptomic complexity across the hexaploid wheat pan-genome
著者: Anthony Hall, Benjamen White, Rachel Rusholme-Pilcher, Susan Duncan, Hannah Rees, Jonathan Wright, Ryan Joynson, Joshua Colmer, Benedict Coombes, Naomi Irish, Suzanne Henderson, Karim Gharbi, Leah Catchpole, Tom Barker, Wilfried Haerty, Gemy Kaithakottil, David Swarbreck, James Simmonds, Cristobal Uauy, Philippa Borrill, Thomas Lux, Heidrun Gundlach, Klaus Mayer, Manuel Spannagl, Helen Chapman, Angela Juhasz, Moeko Okada, Hirokazu Handa, Shuhei Nasuda, Kentaro Shimizu, Daniel Lang, Guy Naamati, Sabrina Ward, Erik Legg, Arvind Bharti, Michelle Colgrave, Jesse Poland, Simon Krattinger, Nils Stein, Curtis Pozniak, Utpal Bose, and 10 plus Wheat genome project
掲載雑誌: Nature Communications
DOI: 10.1038/s41467-025-64046-1