古代より五穀のひとつに数えられるアワは、日本の文化と密接な関係があります。古くは中国の古代文明の主食であったとされ、近代以前はアジアやヨーロッパで穀物として人類を支えてきました。アワがどこからどのように広がったのかということは我々人類の歴史をたどるという意味でも重要です。また、さまざまな環境に適応し、人が栽培することにより形態的にもきわめて多様であり、作物がどのように多様化し分布を広げてきたのかという進化生物学の研究上非常に興味深い材料です。
資源植物学研究室の大迫敬義准教授らのグループは、アワについて実験集団を構築し、次世代シークエンサーを用いた解析を行うことにより詳細な連鎖地図を作成しました。これを用いて形質の多様化や異なる環境条件への適応に関する候補遺伝子を同定しました。さらに、品種間や系統間の変異の解析を行い多様化の遺伝的基礎を明らかにしました。アワの分布の拡大や人為選抜による多様化の解明の手掛かりになる研究といえます。
本研究成果は,英国の国際誌「Scientific Reports」(電子版)2022年1月7日付(日本時間午後7時)に掲載されました。
プレスリリース原稿
https://www.kpu.ac.jp/cmsfiles/contents/0000008/8726/Jan.7.2022.pdf
論文情報
Kenji Fukunaga, Akira Abe, Yohei Mukainari, Kaho Komori, Keisuke Tanaka, Akari Fujihara, Hiroki Yaegashi, Michie Kobayashi, Kazue Ito, Takanori Ohsako, and Makoto Kawase (2022) Recombinant inbred lines and next-generation sequencing enable rapid identification of candidate genes involved in morphological and agronomic traits in foxtail millet. Scientific Reports 12: 218.
DOI 番号:10.1038/s41598-021-04012-1