細胞工学研究室の武田准教授らの研究グループは、シラサギが飛んでいるような形の唇弁を作る野生ラン「サギソウ」について、開花の様子や花弁形成の仕組みを調べました。サギソウは準絶滅危惧種であり、その特性理解が保全活動へつながります。
数週間に及ぶ開花観察から、唇弁はつぼみの中で巧みに折りたたまれており、開花時に展開すること、また受粉によってすみやかに萎れることが分かりました。
また、唇弁のギザギザ(鋸歯)の形成過程における細胞動態を調べて、初期の細胞分裂と、後期の極性を持った細胞伸長により、形作られることを見出しました。
本研究成果により、複雑な形の植物器官が作られる仕組みの一端が明らかになりました。この研究によってサギソウへの関心が高まり、保全活動につながることを願っています。
サギソウの花
論文情報:
Morphological and transcriptome analysis of the near-threatened orchid Habenaria radiata with petals shaped like a flying white bird. Plants 14(3), 393
リンク:
https://www.mdpi.com/2223-7747/14/3/393