農学生命科学科・細胞工学研究室の武田准教授のグループは、近畿エリアの自生サギソウについて、花弁の形態とDNAマーカーを用いた多様性の調査を行い、論文として発表しました。
サギソウは湿地に生息する野生ランで、飛ぶ鳥のような形をした特徴的な花弁は、古来から人々を魅了してきました。しかしながら、湿地減少に伴ってその数は激減し、現在では絶滅危惧種(NT)に指定されています。
武田准教授のグループは、近畿エリアで維持・栽培されているサギソウについて、花弁形態の定量化とDNAマーカーによる遺伝的多様性の調査を行いました。この結果、花弁形態に地域の特徴があることや、地域によっては遺伝的多様性が低く、絶滅の危険性が高いことが分かりました。
花弁形態の定量化とDNAマーカーの利用により、自生地個体群の多様性調査が可能になり、保全の指標となります。他の残された自生個体についても多様性を把握し、保全につなげていきたいと考えています。
T. Tachibana, Y. Nishikawa, N. Kubo, S. Takeda (2020)
Morphological and genetic diversities of
Habenaria radiata (Orchidaceae) in the Kinki Area, Japan.
International Journal of Molecular Sciences 22 (1), 331
doi:10.3390/ijms22010311
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