動物機能学 井上講師が参加した健康成人の腸内細菌叢の特徴に関する研究の成果をまとめた論文がJournal of Gastroenterologyに掲載決定しました。
腸内細菌叢(腸内フローラ)が健康や様々な病気に関係していることがわかっています。本研究論文では、20-80代までの幅広い年代の健康成人を対象に腸内細菌叢解析を行い、その特徴や性差、BMIとの関係を報告しました。
本研究は、京都府立医科大学、タカラバイオとの共同研究です。
日本では水生半翅類の3分の1の種が絶滅危惧類に選定されています。本書籍は水生半翅類昆虫の生物学的知見とヒトとのかかわりを概観し、今後の研究や保全の指針となることを目指して編集されています。内容は環境適応、他種との関係、系統地理学、保全事例など多岐にわたります。農家、高校生、大学生、大学院生、そして環境アセスメント、環境教育や保全に関わる人を読者として想定しおり、中尾はその社会的・学術的活動の成果を「ヒメタイコウチの偏在と局在:その景観-群集生態学的アプローチ」の項を、社会人共同研究者とともに担当しました。
食物繊維を多く摂取すると満腹感が強く誘導されます。この満腹感創出には、食物繊維から腸内細菌の発酵によって作られる「短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)」が関与しており、実際に短鎖脂肪酸を実験動物に投与すると摂食量を低下させます。しかし、短鎖脂肪酸がどのようにして食欲中枢(脳)に作用しているか、その作用機序は十分には分かっていませんでした。
今回、京都府立大学大学院生命環境科学研究科 岩﨑有作教授らの研究チームは、短鎖脂肪酸が内臓から脳に情報を伝える「求心性迷走神経」に直接作用し、脳の活性化を介して摂食量を低下させるという、新規作用経路を発見しました(図)。短鎖脂肪酸の体内分解速度はとても速く、脳に到達しにくい物質であります。一方、短鎖脂肪酸の産生と吸収の場である腸・肝門脈には高濃度の短鎖脂肪酸が存在し、腸・肝門脈には多くの求心性迷走神経が分布しています。食物繊維より産生された腸の短鎖脂肪酸は、腸や肝門脈近傍の求心性迷走神経を活性化し、神経情報として遠くの脳に作用して満腹感を創出させていることが、本研究成果より示唆されました。
近年、腸内細菌叢と健康・疾患との関連が次々と明らかとなっていますが、ここにも短鎖脂肪酸の関与が指摘されています。従って、「腸内細菌・短鎖脂肪酸・健康/疾患」連関に、求心性迷走神経からの脳機能が関与している可能性が考えられ、更なる研究が期待されます。加えて、有益な短鎖脂肪酸を腸内で増やし、求心性迷走神経の活性化を介して摂食量を抑制する食品やサプリメントの開発も期待されます。
本研究成果は、アメリカの学術雑誌「The Journal of Nutritional Biochemistry」の2018年7月号(Volume 57)に掲載予定で、電子論文はオンラインにて現在公開されています(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0955286317306630)。加えて、2018年6月9日の京都新聞に本研究成果に関する記事が掲載されました(http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20180608000167)。
本研究は、京都府立大学(岩崎有作教授)、関西電力医学研究所(矢田俊彦部長)、自治医科大学、株式会社明治との共同研究であり、科学研究費補助金や民間機関(株式会社明治)からの共同研究費等によって行われました。尚、本研究は費用の出資者とは無関係に公正に行われました。
京都新聞記事: http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20180608000167