農学生命科学科

研究成果 

2019.09.20 動物機能学研究室の研究が学術誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」に掲載されました

動物機能学研究室の研究が学術誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」に掲載されました。 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X19317607   薬剤として血中投与したオキシトシンは、 血液脳関門をほとんど通過できないのに、なぜ脳内投与と同様の効果を発揮するのか?   肥満・自閉症・糖尿病改善の作用経路の解明:末梢投与オキシトシンは内臓感覚神経を介して中枢オキシトシン神経細胞を活性化し摂食を抑制する   脳内で摂食行動、社会行動、糖代謝、生殖を制御する神経ペプチドのオキシトシンは、血中投与しても脳へほとんど到達できないことがわかっています。しかし、実際には、皮下注射や点鼻投与でも、過食・肥満・自閉症・糖尿病の改善効果を発揮するため、その作用経路解明が待たれていました。 今回、関西電力医学研究所統合生理学センター長の矢田俊彦、及び京都府立大学生命環境学部教授の岩﨑有作らのチームは、 ①末梢(腹腔内)投与オキシトシンが中枢オキシトシン神経を活性化することを発見、 ②末梢中枢オキシトシン連関には、内臓感覚神経の1種である求心性迷走神経を介した神経伝達が必須であることを発見、 ③本経路の活性化が摂食抑制と連関することを解明 しました。   本研究は、末梢オキシトシン投与を用いた治療の作用機序を明らかとし、さらに、脳内のオキシトシン神経を活性化させる手法として「求心性迷走神経の活性化」が有効であることを示しました。今後、脳機能改善の新規治療法開発や創薬への応用が期待されます。   本研究成果は、米国学術雑誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」に掲載予定、2019916日にArticles in pressとしてオンラインで掲載されました。   プレスリリース原稿

2019.07.18 分子栄養学研究室の研究が学術誌 「Scientific Reports」に掲載されました

京都府立大学 分子栄養学研究室の研究が学術誌「Scientific Reports」に掲載されました ~加齢で衰えた筋肉(サルコペニア)における代謝物の変化を網羅的に解明:予防・改善法に手がかり~ 令和元年7月18日 京都府立大学大学院生命環境科学研究科分子栄養学研究室は、加齢により衰えた筋肉における生体分子(代謝物)の変化を、世界で初めて網羅的に明らかにし、この内容が学術誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」(電子版)に2019年7月18日付けにて掲載されました。 筋肉は運動やエネルギー代謝において重要な役割を果たしています。筋肉は健康的に生きる上で重要ですが、加齢に伴ってその重量や機能が低下します。そのような、加齢に伴う筋肉量や機能の低下はサルコペニアと呼ばれ、寝たきりや車いす生活の原因となり、高齢者の生活の質の低下をもたらします。そのため超高齢社会を迎えているわが国において、高齢者のサルコペニアの予防・治療は健康寿命延伸の観点から重要な課題の一つです。 本研究では、筋肉中の代謝物が加齢に伴ってどのように変化しているのかを調べました。サルコペニアを引き起こした老齢マウスの筋肉を用いて、数百種類の代謝物を一度に測定することのできるメタボローム解析をしました。その結果、瞬発力があり糖質を主なエネルギー源として利用する「白筋(速筋)」が加齢とともに萎縮し、糖代謝物が減少することがわかりました。また、ポリアミン(タンパク質の合成を活発にする生体分子)が、加齢した筋肉で減少することがわかりました。ポリアミンの減少は筋萎縮の原因の可能性があります。一方で、神経から筋肉へ情報を伝達する神経伝達物質の量が加齢とともに亢進しました。老化による筋・神経損傷による痛みの原因である可能性があります。 本研究で得られた老化した筋肉における代謝物変化のデータは、サルコペニアの予防・治療法の開発に繋がることが期待されます。 プレスリリース Scientific Reports 190718

2019.04.26 学生の受賞(昆虫関連3件)

昆虫学に関する学生の学会発表(ポスター発表2件と口頭発表1件)に対して,賞が授与されました.

・1件目
受賞内容:第66回日本生態学会大会 ポスター賞(優秀賞)(行動/behavior 部門)
受賞者:中林ゆい
所属:生命環境科学研究科 応用生命科学専攻 応用昆虫学専門種目
学年:博士前期課程1回生(受賞時) 
受賞題目:寄生蜂はアリ防衛の穴を見抜けるか?:ムラサキシジミを例に
 ※  行動/behavior 部門における選考対象のポスター発表49件のうち,3件が優秀賞として表彰されたもの。
(参考)第66回日本生態学会大会 website  
    http://www.esj.ne.jp/meeting/66/jp/index.html
    受賞者一覧
    http://www.esj.ne.jp/meeting/66/jp/common/doc/poster_awards.pdf

・2件目
受賞内容:第63回日本応用動物昆虫学会大会 ポスター賞
受賞者:中林ゆい
所属:生命環境科学研究科 応用生命科学専攻 応用昆虫学専門種目
学年:博士前期課程1回生(受賞時) 
受賞題目:同種他個体との共存はムラサキシジミの若齢期におけるアリ随伴率を上昇させる
※  選考対象のポスター発表109件のうち,12件がポスター賞として表彰されたもの。
(参考)第63回日本応用動物昆虫学会大会 website  
    http://63.odokon.org/program/

・3件目
受賞内容:関西昆虫学研究会2018年度大会 若手発表賞
受賞者:天野泰輔
所属:生命環境科学研究科 応用生命科学専攻 応用昆虫学専門種目
学年:博士前期課程1回生(受賞時) 
受賞題目:発現比較による虫こぶ形成因子の探索:ホソガ科3種間での比較
※ 対象口頭発表総数6件のうち1件が若手発表賞として表彰されたもの。
(参考)関西昆虫学研究会 website  
    https://sites.google.com/site/entsockinki/

 

天野_賞状

応動昆賞状_2019_中林

生態学会賞状_2019_中林_P1-074

2019.04.05 塚本教授(動物衛生学)の研究が、京都新聞記事(ウェブ版)に取り上げられました

塚本教授(動物衛生学)の研究が、京都新聞記事(ウェブ版)に取り上げられました。

https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20190402000121

2019.03.29 サクラ’ソメイヨシノ’のゲノムを解読しました

サクラ’ソメイヨシノ’のゲノムを解読しました。
 
かずさDNA研究所、島根大学、板井章浩教授(資源植物学)らで構成するサクラゲノム解析チームは、サクラを代表する人気品種であるソメイヨシノ(染井吉野)のゲノムを解読しました。
開花時期のより正確な把握やサクラの新品種開発に役立つものと思われます。
 

2019.02.25 活性酸素を上手に使う植物のしくみについて論文を発表しました

活性酸素は、呼吸に伴ってできる副産物で,加齢・癌などに関わる「悪い物質」として広く知られています。光合成の過程でも活性酸素が発生してしまう植物ではさらに深刻で、植物は活性酸素の害から身を守るためにさまざまな抗酸化物質を持ちます。植物にビタミンC が多く含まれているのはそのためだと考えられています。

一方で、植物はこの活性酸素をわざわざ作り、様々な場面で活性酸素を活用しています。京都府立大学の武田征士 准教授、東京理科大学理工学部応用生物科学科の朽津和幸 教授・賀屋秀隆元助教(現 愛媛大学准教授)らの研究グループは、これまでに活性酸素を積極的に生成する酵素タンパク質Rboh が、根毛(根に生える細かい毛)や、花粉管の先端成長の過程で、重要な働きを持つことを明らかにして来ました。モデル植物であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana) には、Rboh が10 種類あり、上記のようにそのうちいくつかについては機能が明らかになっていましたが,これまで全種類を比較した例はなく,それぞれの活性の違い,機能分担については不明でした。


今回、シロイヌナズナの全種類の酵素タンパク質を網羅的に解析し,同種の酵素であっても多様な性質があり,様々な生命現象に適材適所で機能していることを明らかにしました。この仕組みを利用することで,将来的に生育・生殖効率の高い植物や病気に強い植物を作る一助となると期待されます。この研究成果は,国際学術誌 ”The Plant Journal”(プラントジャーナル)に、12 月20 日に暫定版がオンライン掲載され、2 月14 日に最終版が掲載されました。


論文タイトル:Comparative analyses of ROS-producing enzymatic activity of Arabidopsis NADPH oxidases
著者:Hidetaka Kaya, Seiji Takeda, Masaki J. Kobayashi, Sachie Kimura, Ayako Iizuka, Aya Imai, Haruka
Hishinuma, Tomoko Kawarazaki, Kyoichiro Mori, Yuta Yamamoto, Yuki Murakami, Ayuko Nakauchi, Mitsutomo
Abe, Kazuyuki Kuchitsu

 

プレスリリース原稿

2019.01.29 イネ種子貯蔵タンパク質プロラミンに関する論文が掲載されました

イネ種子胚乳組織には貯蔵タンパク質が合成・蓄積され、その内プロラミンはプロテインボディ・タイプⅠに特異的に集積しています。佐生愛博士(遺伝子工学研究室、現東大医科研)、増村威宏教授(遺伝子工学研究室)のグループは、今回プロテインボディ・タイプⅠへのプロラミンの集積の順番にはプロラミンプロモーターが重要な役割を担っていることを明らかにしました。この成果は、外来タンパク質のイネ種子胚乳への効率的な発現・蓄積に役立つと期待されます。

研究成果は「Plant Biotechnology」誌に掲載されています.


論文タイトル:The localization of rice prolamin species in protein body type I is determined by the temporal control of gene expression of the respective prolamin promoters

 


リンク:

https://www.jstage.jst.go.jp/article/plantbiotechnology/35/4/35_18.0918a/_article/-char/en

2019.01.16 昆虫が植物を操作する能力に関する論文を発表しました

昆虫は非常に多様なグループですが,餌の食べ方も実に様々です.中には,薄い葉に潜り込んで内部を摂食する「潜葉性昆虫(英語では leaf miner リーフマイナー)」というグループもいます.

今回,大島准教授らの研究グループは,フランスのトゥール・フランソワ=ラブレー大学,国立科学研究センター (CNRS),国立農学研究所 (INRA) との国際共同研究により,ヒサカキに潜る潜葉性昆虫であるヒサカキホソガの幼虫が,単に葉に潜っているだけでなく,自身の餌となる植物組織を能動的に植物に作らせていることを発見しました.

このような特徴は「虫こぶ形成昆虫」でも知られていましたが,今回の発見は潜葉性昆虫の植物操作能に関する新たな知見をもたらすだけでなく,虫こぶ形成昆虫を含めた「昆虫類における植物操作能」の進化を理解する上でも重要な発見といえます.

論文リンク:
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0209485

本研究は,日本側では
JSPS二国間交流事業(フランスとの共同研究)
JSPS科研費 挑戦的研究(開拓)17H06260
京都府立大学 重点戦略研究費
のサポートを受けて行われました.

また,第一著者の大学院生は,京都府立大学とトゥール・フランソワ=ラブレー大学間の国際交流協定によるダブルディグリープログラムのもと,両大学の博士後期課程に在籍して研究を行なっています.

2019.01.15 ストレス耐性イネの開発に関する著書が発行されました

地球規模の温暖化・気候変動が問題となっている中、高温や乾燥などの環境ストレス(=非生物ストレス)に強い農作物を開発することが必要です。現在世界中で多くの研究者が、植物のストレス耐性上昇に取り組んでいます。

この度、本学科・遺伝子工学研究室の森田准教授が分担執筆したイネの非生物ストレス耐性に関する著書が刊行されました。森田が担当した章では、遺伝子導入によるイネのストレス耐性上昇に関する最近の研究をまとめました。

 

書名 “Advances in Rice Research for Abiotic Stress Tolerance”

(非生物ストレス耐性に関するイネ研究の進展)

 

章タイトル “Engineering of abiotic stress tolerance by modulating antioxidant defense systems“

(活性酸素防御系の改変による非生物ストレス耐性の上昇)

 

文献URL

https://doi.org/10.1016/B978-0-12-814332-2.00037-X

 

 

Shigeto Morita. (2019) Engineering of abiotic stress tolerance by modulating antioxidant defense systems. In “Advances in Rice Research for Abiotic Stress Tolerance”, (Edited by Mirza Hasanuzzaman, Masayuki Fujita, Jiban Krishna Biswas, Kamrun Nahar), p755-765, Woodhead Publishing

2018.12.11 バラ科サクラ属果樹の異種間交雑親和性に関する論文がアクセプトされました

バラ科サクラ属には、モモ、スモモ、アンズ、オウトウ(さくらんぼ)、ウメなど経済的に重要な果樹が多く含まれています。

森本拓也助教(果樹園芸学研究室)および京都大学・和歌山県うめ研究所の共同研究グループは、今回サクラ属果樹の異種間交雑親和性を網羅的に解析し、一部の組合せでは種間雑種を獲得できることを明らかとしました。

種を超えた交雑によって、新しい果樹の育成が可能になると期待されます。

研究成果は「Scientia Horticulturae」誌に掲載されています.
論文タイトル:Characterization of post-mating interspecific cross-compatibility in Prunus (Rosaceae)
リンク:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304423818308264

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