農学生命科学科

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2024.10.18 「高校生対象 実験・実習講座」を行いました

2024年10月6日(日)午後、農学食科学部附属精華農場で「京都府立大学精華キャンパス農学生命科学科・高校生対象 実験・実習講座」を実施しました。この実験・実習講座は今回初めての試みです。京都府などの近畿府県を始め、島根県や香川県、和歌山県などから高校生約20名が参加しました。

 本学副学長・精華キャンパス長・附属農場長の増村教授から開会挨拶、教員と学生の紹介後、果樹園芸学研究室の板井教授から模擬授業として「果樹の未来予想図」に関する研究紹介がありました。

 

 模擬授業後、2グループに分かれて実験体験または圃場実習体験を行いました。

 実験体験では、遺伝子工学研究室の森田准教授から「米のタンパク質含量の測定」について説明後、分析実習室で実験を行いました。実験では、教員・研究室に所属する学部生および大学院生が高校生と共に、米(イネ種子)の摩砕とタンパク質の抽出、分光光度計によるタンパク質定量に関する一連の実験を行いました。

 圃場実習体験では、教員・農場職員・研究室に所属する学部生および大学院生が高校生と共に、カキの収穫と脱渋、レタスの定植に関する実習を行いました。

 

 当日は、好天に恵まれて10月にしては暑いくらいの陽気でしたが、皆さん真面目かつ楽しそうに実験と圃場実習に取り組んでいました。

2024.10.15 【府大内共同研究成果】血糖値に上がりにくい「もち米品種」を発見(動物機能学)

“和食”に欠かせない米(うるち米、もち米)は、食後の血糖値が上昇しやすい食品として捉えられ、これが米の消費量減少に拍車をかけているのかもしれません。米の食後血糖上昇指数(Glycemic Index: GI値)を調べると、うるち米(米飯)は73前後で一定であるのに対し、もち米(おこわや餅)は48-94と幅広く、もち米は必ずしも血糖上昇作用が強いわけではないことが示唆されていました。しかし、もち米のGI値が幅広い理由や原因となるメカニズムについては不明でした。

今回、京都府立大学大学院生命環境科学研究科動物機能学研究室の岩﨑有作教授、大林健人博士大学院生、杉山雄大修士大学院生を中心とするグループは、同研究科遺伝子工学研究室の増村威宏教授、同大学京都和食文化研究センターの佐藤洋一郎特任教授、京都大学の中﨑鉄也教授、岡山大学の西村和紗助教との共同研究で、以下を発見しました。

 

① 3種類のうるち米と7種類のもち米を用いて、もち米の血糖上昇作用が品種間で大きく異なることを発見

② その中でも、もち米品種の「あねこもち」と「羽二重もち」が低い血糖上昇作用を有することを発見

③ あねこもちは、抗肥満・抗糖尿病作用を有する腸ホルモンのグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)を強く分泌することを発見

④ あねこもちによる低い血糖上昇作用には、GLP-1による迷走感覚神経活性化を介したインスリン作用の増強というメカニズムが関与していることを発見

 

本研究は、あねこもちのような一部のもち米品種が、腸GLP-1分泌促進による神経活性化の機序を介して、食後の血糖上昇を抑制することを明らかにしました。言い換えると、品種の違いによって、食後の血糖値が上昇しにくい有益な機能を有するもち米(あねこもち、羽二重もち)が存在することを明らかにしました。

もち米を利用した料理や菓子は日本の食文化や和食に欠かせませんが、血糖上昇能が高いかもしれない不安から、近年では健康を気遣う人々や糖尿病の方から敬遠される傾向にあります。本研究で見出した血糖上昇が緩やかな米品種を利用することで、食後血糖上昇に配慮したもち米・餅料理・餅菓子を楽しむことが可能となり、この科学的根拠が日本の食文化と和食の保護に貢献すると期待されます。

 

本研究成果は、2021年9月27日に日本生理学会の英文機関誌である「The Journal of Physiological Sciences」誌に掲載されました。

 

 

論文名(英語):Anekomochi glutinous rice provides low postprandial glycemic response by enhanced insulin action via GLP-1 release and vagal afferents activation.

論文名(日本語):もち米のあねこもちはGLP-1分泌と求心性迷走神経活性化を介してインスリン作用を増強することで低い血糖上昇作用を示す

著者名(日本語):大林健人、杉山雄大、能美太一、西村和紗、中﨑鉄也、佐藤洋一郎、増村威宏、岩﨑有作

雑誌名:The Journal of Physiological Sciences, 2024 Sep 27;74(1):47 (DOI: 10.1186/s12576-024-00940-5)

URL:https://jps.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12576-024-00940-5

 

プレスリリース原稿

 

2024.10.08 農林水産技術交流会に参加しました

京都府農林水産技術センター(府の農業研究所)-府立大学-農林水産系高校等と実施している「農林水産技術交流会」が、2024年9月26日(木)、府立農芸高校で開催されました。 

府立大学からは農学生命科学科を含む教員・学生が参加し、ポスター発表を行いました。画像は、本学科・果樹園芸学研究室の学生のポスター発表に耳を傾けている農芸高校の湯川校長先生です。

その後、農芸高校の田や温室、牛舎などの施設を見学しました。画像は、シクラメンを栽培中のガラス温室です。