京都府立大学、名古屋大学、京都産業大学、熊本大学の共同研究グループは、植物の花において、花びらができる位置を決定する位置情報伝達システムを発見しました。
花びら(花弁)は、がく片とがく片の間(がく片境界部)の少し内側にできますが、どのようなメカニズムで花弁ができる位置が決定しているかは不明でした。
本研究では、がく片境界部で働くPTL遺伝子に着目し、PTL遺伝子がUFO遺伝子の働きを介して花弁原基形成を担うことを示しました。
花器官の配置は、花粉を運ぶポリネーターにとって、また花のかたちの観賞価値を高めるために重要です。
本研究成果は、花弁の位置情報伝達システムを解明したことに加え、花の形を改変する技術につながる可能性があります。
プレスリリース原稿はこちら
【論文情報】
本研究成果は、国際学術誌「Development」に、令和4年8月11日に掲載されました。
論文タイトル:Non-cell-autonomous regulation of petal initiation in Arabidopsis thaliana.
著者:Seiji Takeda, Yuki Hamamura, Tomoaki Sakamoto, Seisuke Kimura, Mitsuhiro Aida, Tetsuya Higashiyama
京都府立桂高等学校(京都府京都市)の研究提案「懸崖菊優良品種の茎頂培養による保全と重イオンビームによる新品種の育成」が、バイテク情報普及会が主催する「第6回 高校生科学教育大賞」で最優秀賞を受賞しました。
https://cbijapan.com/education/
「高校生科学教育大賞」は、これからを担う高校生が「植物バイオテクノロジー」と「持続可能な農業」とについてより深く学び考えるきっかけつくることを目的に2017年に設立され、毎年支援対象校を公募しているものです。上記の研究提案では、本学科の野菜花卉園芸学研究室卒業生の宮脇潤先生が関わり、高校での教科、TAFS(課題研究:第2研究群、教員3名、生徒38名)の授業において、植物バイオテクノロジーの技術を利用して、京都の伝統的な在来品種や栽培方法の保存、地域の農業振興などにも貢献されています。今回は3名の生徒が研究提案を行い、京都府向日市の特産品である懸崖菊(けんがいぎく)の生産農家が1軒だけになった状況をバイオテクノロジー技術で救おうとする着想が高く評価され、受賞に繋がりました。
この研究では、重イオンビーム照射を理化学研究所 仁科加速器科学研究センター 生物照射チームが、植物組織培養技術を本学科の植物育種学研究室がサポートしています。
<参考>
・京都府立桂高等学校
http://www.kyoto-be.ne.jp/katsura-hs/mt/
・理化学研究所 仁科加速器科学研究センター 生物照射チーム
https://www.nishina.riken.jp/labo/muta_bio.html
・農学生命科学科 植物育種学研究室
・農学生命科学科 野菜花卉園芸学研究室
https://eureka.kpu.ac.jp/~takaaki/