虫こぶは、虫こぶ形成昆虫が植物に作る、食糧と住まいを兼ねた特殊な組織です。植物が通常作る葉や花、果実とは全く異なる形態になることから、虫こぶ形成昆虫が植物の発生システムをハイジャックして、自分に都合の良い組織を作り上げていると考えられますが、その分子メカニズムはよく分かっていませんでした。
京都府立大学と京都産業大学の共同研究チームは、種類の異なる4つの植物の虫こぶ(カンコノキハフクレフシ、ヒサカキハフクレフシ、ヨモギハエボシフシ、ヌルデミミフシ)で発現する遺伝子を網羅的に比較することで、虫こぶ形成に関わる遺伝子の同定を行いました。その結果、4つの虫こぶでは共通して光合成関連遺伝子の発現が下がり、代わりに器官発生に関わる遺伝子や、細胞分裂・植物ホルモン応答・リグニン化などに関わる遺伝子が高発現することが明らかになりました。虫こぶ形成昆虫は、植物側の遺伝子発現制御を大胆に変更しながら、虫こぶを形成していくことが示唆されました。この研究成果は、PLOS ONEで公開されています。
今回の結果から、異なる植物種の虫こぶで、共通した発生メカニズムがあることが示唆されました。さらに研究を深めることで、虫にならった植物組織の改変技術に繋がる可能性があります。
カンコノキの葉にできる虫こぶ
「府大の学び発見(府内高校生のための交流会)」開催報告
10月19日(土)に京都府公立大学法人主催「府大の学び発見(府内高校生のための交流会)」を開催しました。農学生命科学科では大学院生らによる学科紹介やミニ演習、また座談会形式による学生生活(授業、クラブ・サークル活動、アルバイトなど)紹介等を行いました。ミニ演習では、本学科の育種学研究室(
https://kpuikushu.net/info/2716055)で扱っている植物の一つ、トレニアの組織を実体顕微鏡で観察するとともに、成長点を切り出して人工種子を作成しました。作成した種子については各自持ち帰っていただきました。受験勉強もさることながら、うまく芽が出て花が咲くことを心から祈っております。
参加者
30名(定員
30名)の大盛況でした。次回はもう少し定員を増やせるよう工夫したいと思います。
参加いただいた皆様、どうもありがとうございました。