動物機能学研究室の研究が学術誌「
Biochemical and Biophysical Research Communications」に掲載されました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X19317607
薬剤として血中投与したオキシトシンは、
血液脳関門をほとんど通過できないのに、なぜ脳内投与と同様の効果を発揮するのか?
肥満・自閉症・糖尿病改善の作用経路の解明:末梢投与オキシトシンは内臓感覚神経を介して中枢オキシトシン神経細胞を活性化し摂食を抑制する
脳内で摂食行動、社会行動、糖代謝、生殖を制御する神経ペプチドのオキシトシンは、血中投与しても脳へほとんど到達できないことがわかっています。しかし、実際には、皮下注射や点鼻投与でも、過食・肥満・自閉症・糖尿病の改善効果を発揮するため、その作用経路解明が待たれていました。
今回、関西電力医学研究所統合生理学センター長の矢田俊彦、及び京都府立大学生命環境学部教授の岩﨑有作らのチームは、
①末梢(腹腔内)投与オキシトシンが中枢オキシトシン神経を活性化することを発見、
②末梢
—中枢オキシトシン連関には、内臓感覚神経の
1種である求心性迷走神経を介した神経伝達が必須であることを発見、
③本経路の活性化が摂食抑制と連関することを解明
しました。
本研究は、末梢オキシトシン投与を用いた治療の作用機序を明らかとし、さらに、脳内のオキシトシン神経を活性化させる手法として「求心性迷走神経の活性化」が有効であることを示しました。今後、脳機能改善の新規治療法開発や創薬への応用が期待されます。
本研究成果は、米国学術雑誌「
Biochemical and Biophysical Research Communications」に掲載予定、
2019年
9月
16日に
Articles in pressとしてオンラインで掲載されました。
プレスリリース原稿