農学生命科学科

イベント開催情報

第8回 進化多様性生物学オープンセミナーのお知らせ

日時:2018年11月16日(金) 午後3:00場所:京都府立大学 下鴨キャンパス 稲盛記念会館2F 視聴覚室

第8回 進化多様性生物学オープンセミナーを開催します。

講演者: 甘田 岳(京都大学大学院農学研究科森林生態学分野)

要旨

ハワイフトモモ(Metrosideros polymorpha)はハワイ諸島に広く分布する優占樹種であり、多様な環境に適応して形質が著しく多様化し、適応進化のモデル樹木として注目されている。形質の多様性の中でも、葉トライコーム(葉毛)量の変異は特に顕著であり、湿潤地では無毛個体も存在する一方、乾燥地では葉重量の40%がトライコームである個体も存在する。本種の適応を理解する上で葉トライコームの生態学的意義の解明は極めて重要である。本研究ではハワイフトモモの葉に多く形成される虫こぶに注目した。ハワイ諸島において単系統から適応放散したキジラミ(Pariaconus 属; 36 種)は、ハワイフトモモのみを寄主とし、多様な形態の虫こぶを形成する。虫こぶ形成は葉の表面積を増加させ、水分損失を増やし、乾燥ストレスの増加に繋がると考えられる。そこで「ハワイフトモモの葉トライコームは虫こぶ形成を抑制し、乾燥適応に貢献する」という仮説を立て、これを検証した。ハワイ島において本樹種の生育環境を網羅するように48 集団1780 個体のシュートを採集し、形態から分類される3タイプ(Cone、Flat、Pit)の虫こぶの数をそれぞれ数え、環境や葉形質との関係を調べた。虫こぶはタイプごとに分布最適温度が異なり(Cone:20℃、Flat:16℃、Pit:12℃)、虫こぶ形態の違いはキジラミの分布温度を反映していると考えられた。サイズの大きいCone とFlat の数は葉トライコームが多いほど有意に少なかった。また、Cone とFlat の増加は水分損失を増加させた。これらの結果は、葉トライコームが虫こぶ形成を抑制し、余剰な水分ストレスを回避することで、乾燥適応に貢献する可能性を示唆している。 本セミナーでは、上述の研究の詳細に加え、虫こぶ形成の進化のモデル生物の可能性を秘めたハワイのキジラミについて紹介したい。

 

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